2016年七月場所
出足の鋭い今場所を象徴するような取り口で、天風が初めて十両を制した。
「とにかく前に出ようと思った。優勝は初めてなので不思議な感覚だ」と声を弾ませた。
ただ一人3敗の千代丸が敗れ、勝てば優勝が決まる一番。203キロの天風は199キロと同じく巨漢の臥牙丸に体ごとぶつかり、左四つ十分の体勢となる。両まわしを引きつけ、ぐいぐい出て寄り切った。
「硬くなったというよりは、立ち合いで当たることに集中していた」。
勝ち残りの土俵下で目が潤んだように映ったものの「泣いていない。全部汗だった」と人懐っこい笑顔で否定した。
新十両の昨年春場所で10勝を挙げた後、5場所連続負け越しと苦しんだ。
「苦しい経験をして見つめ直した」と反省し、休む日もあった場所中の朝稽古を今場所は皆勤。
千秋楽の結果次第では新入幕の夢も広がるが「全然考えていない。優勝すら思っていなかったから」と笑い飛ばした。(2016/07/24 四国新聞)
大相撲秋場所番付で新入幕が決まった香川県琴平町出身力士の天風の十両優勝祝賀会が28日、町内のホテルで開かれた。
天風関は7月の名古屋場所で13勝をあげ、十両昇進から9場所目で初の十両優勝を果たした。
29日に発表された新番付で幕内に昇進、東前頭13枚目となる。
祝賀会は後援会(会長・大野敬太郎衆院議員)が開催。
大野会長は「最終的には横綱の名前を地元に持って帰ってくれることを期待したい」とあいさつ。
尾車親方からは「幕内は甘い相撲をとるものは1人もいない。今以上に厳しく指導し、期待に応えられるような力士に育てたい」とのメッセージが寄せられた。
こんぴら観光大使から花束を手渡された天風関は
「親方から『負けてもいい。自分の相撲をとってみろ』とアドバイスを受け、思い切り取り組めた」
と振り返り、新入幕については「皆さんに感動してもらえるような熱い相撲を取っていきたい」と決意を述べた。