2015年9月場所
◇大相撲秋場所千秋楽(2015年9月27日 両国国技館)
秋場所の三賞選考委員会が両国国技館内の記者クラブで行われ、2横綱2大関を破って11勝した嘉風が殊勲賞と技能賞をいずれも初受賞しました。
(敢闘賞は栃ノ心が5回目、勢が3回目の受賞。)
「いつもなら三賞を“もらえるかどうか”と考えて昼寝ができなかったけど、今回は“何がもらえるか”と考えて昼寝ができなかった」と笑顔。
さらにツイッター上で「嘉風が引退したら思い出の場所は今場所」と書かれていたのを発見したそうで
「そうならないようにしたい。明日がピーク、明後日がピーク、毎日がピークにしたい」とさらなる活躍を誓いました。
白鵬から初金星!
横綱・白鵬を10度目の挑戦で初めて破り、3個目の金星!
嘉風「(観客の歓声で)勝ったことに気づいたがあまり憶えてません。
昨日は上位と相撲取れるのにいいところなく負けたが、力を出し切れなかったのが悔しかったので今日は力を出し切った。
(白鵬とは)いろいろ考えてできる相手ではないので、思いっきりいきました。
(白鵬から初金星を挙げ)信じられないってのはこういう事なんだなと思いました」
鶴竜 2日連続の金星!
2日連続で座布団を乱舞させた嘉風は、「最高。お客さんがいっぱい入っている中で相撲が取れる。自分にしか味わえないことだから」。
大歓声を再び独り占めにした瞬間を思い出し、思わず笑みがこぼれた。
鶴竜との突っ張り合いにもひるまず踏ん張り、たまらず横綱が引いたところで一気に前へ。
前日の白鵬戦同様、内容をよく覚えているわけではない。その一方で「もう一人の自分が横から見ているような」感覚もあったいう。
程よい熱さと冷静さが、集中力と勝負勘をさらに鋭いものにした。
琴奨菊
白鵬、鶴竜の2横綱から金星を奪った嘉風が、またも上位の大関・琴奨菊を撃破した。
立ち合いすぐに左を差し、右でおっつけて寄り切る会心の一番。
「先に攻めたのが良かった。夢みたいです」。快進撃に笑いが止まらなかった。
西前頭筆頭。昨年夏場所以来の三役復帰も狙えるが「それは目標の一つでもあるけど、終わってからの結果ですから」と色気は見せなかった。
6日目は最後の横綱、大関戦の豪栄道戦。「一日一番に全力を出し切ることをテーマにやっていきたい」。
豪栄道
1度は引きかけたが、師匠の教え通り、前に出て押し倒し。
昨年秋場所(反則勝ち含む)に続いて、平幕で史上初の2度目の2横綱2大関撃破を果たし、4勝目を挙げた。
立ち合ってすぐ、手が相手をはたこうとした。その瞬間、師匠の言葉がよぎった。「どんどん前に攻めろ!」。
ほんのコンマ数秒。考える間はない。だが「思い出した」と真顔で言う。体も動いた。教え通りに攻める。
一方的に突いて、最後は押し倒し。「自分でもびっくり。ああいう展開になるとは思っていなかった」。
最後の横綱、大関戦を、完勝で締めた。
尾車親方の言葉。3日目に2つ目の金星を取った後に諭されていた。鶴竜を攻めて倒しているのに…。
「ダメな相撲だったかなと思った」という。だが、そこでへそを曲げず、意味を考えるのが今の嘉風。
「師匠は時に重要なことを言う。何か意味があるんだろうと思った」。考えて、安易に引いて勝つなという意と解釈した。
それが、ここ一番で出た。「思い出して前に出れました」と感謝した。
平幕力士の2度目の2横綱2大関撃破は、年6場所制となった58年以降、史上初。
「夢みたい。自分がやっている感じがしない」と、白鵬撃破に始まった夢見心地は、いまだ覚めない。
みなさまのご声援のおかげですばらしい場所になりました!
来場所以降もがんばりますので応援よろしくお願いいたします!!